2月8日9時のできごと 「柳生、コレやる」 と、仁王から差し出されたのは可愛い包み紙のチョコレートだった。 「…?ありがとうございます。でも学校にお菓子を持ってくるのは駄目ですよ」 お礼を言いながらも校則違反には注意を促した。 「ンな硬いこと言うなって。運動したあとに甘いモンを補給するんは大事じゃしな」 「それはそうですが…。ではお言葉に甘えていただきます」 キラキラした包み紙を開封して小さなチョコレートを口に含んだ。 甘い香りが口の中に広がる。それをしっかりと味わった。 「美味しいです。ありがとうございます」 「ンー。何かあったら俺に言うてこいよ」 「何か、ですか?」 「そそ。ンじゃ、授業始まるけェ先行くぜよ。遅れンなよ」 と、仁王は不可解なことを言い残して部室を出て行った。 柳生はそれから30分後、この言葉の意味を知ることになる。 (熱い…) 柳生は教室で自分の席に座ったところで、身体に異変を感じた。 変に身体が熱いのだ。 周囲を見ると、暖房が効きすぎているというわけでもなさそうだ。 でも身体が熱い。 呼吸が次第に荒くなって、肌が熱い。 制服が少しでも擦れるだけで、下肢が以上に昂ぶった。 「…っ」 気を抜くと喘いでしてまいそうで、柳生は掌で口を覆った。 (おかしいです…、どうして) 涙で潤んだ双眸で、同じ教室にいる仁王を見た。 仁王は柳生の視線に気付くと、その酷薄そうな唇をニヤリと歪める。 「…!」 全ての合点がいった。 何もかもが仁王の策略だ。 からくりがわかると、まんまと引っかかった自分が悔しくてギュッと唇を噛み締める。 仁王はまるで獲物を追い詰める狼のように鋭い視線で舌なめずりをしていた。 いやらしく濡れた赤い舌がちろりと見えると、柳生は頬が赤く染まる。 ついこの間、その舌で啼かされたばかりだ。 これ以上見ていたくなくて、さっと視線を逸らす。 仁王は柳生が苦しむさまを見て楽しんでいた。 (身体が熱い、変になりそうです) 身のうちに荒れ狂う熱に、次第に意識が朦朧としてくる。 机の下では、柳生の下肢は本人の意思に関係なく勃起しドクドクと脈打っていた。 隠れていてわからないが、先端からの恥ずかしい染みで下着を濡らしている筈で。 もう駄目だと声を上げそうになったそのとき、 「せんせー、柳生君が具合悪そうなんで保健室言ってくるとでーす」 と、仁王が立ち上がった。 そしてそのまま保健室ではなく、誰もいない教室へと連れ込まれる。 部屋の中へ入ると、柳生は自分から仁王に抱きついた。 「…たまらんかったと?」 声に揶揄が含まれていたが、そんなことはどうでもよかった。 今すぐにでもどうにかして欲しい。 仁王は拒むことなく、固い木製の床に柳生を押し倒した。 「あっあっ、いやあっ…、あン」 まだ直接、性器を触られているだけでも、挿入してもらったわけでもない。 身体中に唇でキスをされているだけだ。 なのに、柳生はもう2回も達してしまっていた。 とにかく気持ちがいい。 良すぎて気が狂いそうなほどだ。 「耐性ないンもアレじゃのー。エロすぎじゃ」 先端からはぬるぬるとカウパーが溢れ、どろどろに下肢を濡らしている。 制服は自分の汗と精液まみれでぐちゃぐちゃだ。 焦らされるばかりで直接的な刺激がないのが辛くて、足を仁王に擦り付けた。 “早く挿れて欲しい”というおねだりだ。 もう羞恥という感情は、すっかり溶けきっている。 「しょーがないのう…。ほれ、股もっと開いてみ」 仁王もすでにギンギンのカチカチの筈なのに余裕ぶった言葉を吐く。 「もう、もう、駄目です…」 足を全開に開いて、腰を揺すった。 「ほれ、ぶちこむぜよ。じっくり味おうとけ」 と言うなり、いきり立った仁王の怒張がずぶずぶと後孔に押し入っていた。 「ひあああっ――…っ!」 「あー、すっげェ。ぎゅうぎゅう喰らいついてきとる…っ、」 充分に解されて溶けた入り口の襞、すんなりと怒張を受け入れて出て行かせないようにパクっと塞がった。 抽挿で出入りするたびに捲れて取り込まれてを繰り返す。 柳生の前立腺は中ぐらいより少し手前にある。 仁王はもう把握済みのそこを、先端でぐいぐい押してやると 「いやっ駄目っ、ひィっ」 と悲鳴にも似た喘ぎと一緒に、精液がぴゅぴゅっと噴き出た。 「おー、ところてんじゃ、良かったのう」 と、言っても柳生には聞こえてはいなかった。 柳生はその後、必死に仁王にしがみ付いて、何度も突いて貰い何度も絶頂に達した。 そしてそれはイキすぎて失神するまでそれは続けられた。 気を失った柳生をようやく解放してやると、意識のない身体は余韻にビクッビクッと痙攣していた。 仁王は欲望をたっぷりと注ぎ込んで、満足したのかとても嬉しそうだった。 end. (2006/2/8) |
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