初体験 前編





 …信じられない。

 あまりのも現実離れをした出来事に、柳生は呆然とした。
 目の前には仁王がいる。
 けれど、様子が妙におかしい。
 なんだか、変だ。
 さっきまで確かに会話をしていたのに。 


 動揺で視線がうつろぐ。
 何かの見間違いかと、ちらりと余所を見てもう一度見てみる。
 けれど、明らかに仁王はふたまわりほど『小さく』見えた。
 眼鏡を外し、目をごしごしと擦る。

 「…に、おうくん?」

 「おまえ、ダレじゃ」
 と、仁王とは似てもにつかない高い声で
 仁王と瓜二つの少年が睨み付けてきた。


 (えーっと…、この子はいったい?)
 冷静になるべく眼鏡のブリッジを押し上げる。
 この仁王にそっくりな子は誰なのか。
 親戚の子?それとも弟がいるといっていたから、弟と入れ替わった?
 …いったいいつ入れ替わる間があったのだろう。

 仁王とは先程まで会話をしていた。
 ちょっと背を向けて片づけをしていると
 会話の返答がなくなった。
 気分で無視をされるのには慣れっこで、別段気にも止めなかった。
 片づけを終えてふと振り返ると、
 だぼだぼの練習着をきた少年がこっちを見ていたのだ。

 少年の口元にはほくろが一つ。
 それは仁王と同じ位置で。
 これはもしかして、…仁王が小さくなった?
 (いやいや、そんな非現実的なことが起ころう筈もありません)
 柳生は心内で自問自答をして首を振った。
 (あ、でもそういえば…)
 会話が途切れる直前、仁王が奇妙なことを言っていたのを思い出す。
 柳の知り合いが作ったという、深緑色の飴を食べていた。
 何でも特殊な効果があるとかで。
 あれだ。あの飴のせいで仁王は小さくなってしまったのだ。
 何とか確かめないと…!

 何とか脳内で折り合いをつけると
 柳生はコホンと咳払いをし少年に向き合った。
 「君のお名前は何ですか?」
 と、尋ねると
 「ハ?俺のほうが聞いとろーが。アンタが答えんかい」
 と、可愛いげのかけらもない返事。
 仁王だ。間違いない。
 こんな口の悪い子供は他に思いつかない。
 柳生は妙な確信を持った。



 子仁王の手を引いて、彼の家に連れ帰った。
 最初手を繋ぐことを嫌がられたけれど
 都会の情景が珍しいのかじっとしてくれず、
 目を離せばすぐにどこかに消えてしまうので苦肉の策だった。
 今日は週末で、仁王の家族は旅行に出かけて不在。
 本当はお泊りの約束をしていた。
 「なァ、ココ誰ンち?」
 玄関を上がって子仁王はきょろきょろと家捜しをしながら聞いてきた。
 「あなたのお家ですよ」
 「俺んちココじゃなかよ。何言うとっと」
 「でもここはあなたのお家です」
 いちいち説明をするのが面倒で言い含める。
 子仁王は「フーン」と、首を傾げていた。
 柳生の苛立ちを察知したのか、それ以上聞いてこなかった。
 テレビを見つけると電源を入れて見始める。
 子仁王が大人しくなるとキッチンのテーブルに腰を下ろして、これからどうしたらいいのかと頭を抱えた。
 (とにかく、ご両親が帰ってくるまでには何とかしないと…)
 かといって、何か良い方法が思いつくわけでもない。
 解決方法を探すべく、柳に電話を掛けてみると
 『あれは24時間で効果が切れるから大丈夫だ。
  確か2、3歳くらい若返ると言っていたか。
  どうせなら、小さなあいつをじっくり観察しといてくれ』
 と、あっさり言われた。
 (何て無責任な…)
 怒りでわなわなと震えたけれど、
 切れてしまった電話を前に怒りの矛先がなかった。
 飴の効力が24時間としたら、後22時間と少し。
 それまで一緒にいて、仁王を見張っていなければならない。
 (小さな仁王君は、私が守ってみせます…!)
 と心に誓うと、あどけない後姿を見つめた。



 晩御飯を済ませ、初めての場所に暴れる子仁王を何とかベッドに寝かしつけた。
 (やれやれです…)
 とにかくこの一晩を乗り切ったら、あとは時間が過ぎるのを待つのみだ。
 仁王の部屋着を取り出して着替え、すやすやと寝息をたてる子仁王の隣に潜り込んだ。
 布団からは馴染んだ匂いがした。
 (あ…、仁王くんの匂い)
 仁王のベッドなのだから、当然と言えば当然で。
 身体全身を仁王に包まれているような錯覚に陥った。
 本当ならお泊りして、久しぶりに抱き合っている筈だった。
 そんなことを考えたら、下肢からじわりと熱が起こった。
 恥ずかしいけれど、下着の中に手が伸びそうになる。
 仁王の匂いがいけないのだ。
 なんとか我慢をしなくてはと、必死に別のことを考えた。
 けれど、一度意識した熱を知らないふりができるほど大人ではなかった。
 「ンー…」
 焦る柳生の隣で、すっかり夢の中の子仁王が寝返りをうった。
 ふと、いけないことを思いつく。
 けれど、柳生は首をふった。
 (ダメです。そんなことは犯罪です)
 目を閉じて子仁王とは反対を向く。
 するとまるで体温を求めるように、柳生にくっついてきた。
 背中に感じる子仁王の温もりに、下肢は更に熱くなって身じろぐ。
 (少しくらいなら…)
 押さえきれない熱に柳生は振り返って子仁王に覆いかぶさった。
 下半身を脱がせると、小さなムスコが本体と同じようにすやすやと眠っている。
 躊躇うことなくその小さな下身を咥えた。
 皮を剥いてきれいな色のままの先端を舌で舐めた。
 ねっとりとした愛撫の刺激に、子仁王の意識が覚醒する。
 「…ン?なんじゃ…、!」
 小さなムスコはそれでもしっかり勃ちあがると、すぐに先っぽから我慢汁が溢れて濡れだした。
 「ア?あ、イヤじゃ。怖い、離せー、バカ!アッ」
 散々暴れながらも、子仁王は柳生の口の中に精を放った。
 それをごくりと飲み干して、萎んだムスコをもう一度摘んだ。
 上目遣いに見上げれば、子仁王は初めての性の目覚めに放心しているようだった。
 「…コレは何じゃ。すっげェ気持ちよか」
 と、紅潮した頬で目をぱちくりさせている。
 柳生は再び子仁王の股に顔を埋めると、一生懸命奉仕した。
 いつもよりはずっと小さいせいで、苦しさはなかった。
 巧みな愛撫に、子仁王の分身はすぐに復活する。
 それを確認して、起き上がると下半身の衣服を脱いだ。
 口での奉仕だけですっかり興奮した昂ぶりが、下着から飛び出て震えた。
 子仁王がその大きさに驚いて、口をあんぐり開けていた。
 そんな様子は無視して
 「じっとしててください」
 と小さな身体に馬乗りに跨った。
 早く体内に太い熱を感じたかった。
 自分の後孔にローションを塗りつけ、子仁王の分身をに沿わせると、呆然としていた子仁王がようやく反応する。
 「…何しとんじゃ。…ア!」
 ずぶりと腰を落とす。狭い内壁が子仁王を締め上げた。
 「…ん、」
 吐息を漏らしながらも、何とか腰を動かし始める。
 日ごろはしてもらうばかりで、自分から動くのは初めてだった。
 子供サイズとはいえ男性器を体内に受け入れる辛さ。
 柳生は苦しい吐息を零す。
 身体の下では、子仁王がぶるぶると震えて興奮に酔ってるようだった。
 頬は赤く、小さく勃起した下身を柔らかな肉襞に擦り上げられて
 「ヤ、すげ、ア、あ、気持ちよかァ…」
 と喘いで、締まり具合に翻弄されていた。
 柳生は身体を揺らしながら、小さな仁王を犯す快感に、どうしようもなく身体が熱くなるのを感じていた。



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